第二期塾生最終レポート

兼久将 中村泰之 妹尾駿 馬場もも子


兼久将

「こころ」とは何か

 

 今回自啓共創塾へ参加させていただき(数多くは参加できませんでしたが)「こころ」という抽象的な表現に対して、定義のようなものを考えるようになりました。

 

 人間共通の「思考」(寝る、食べる、歩くなど)と、積み上げてきた歴史の中で形成された「思想」と、それぞれの環境で醸成される「性質・性格」を掛け合わせたものが個人の「こころ」と言われるものなのではないかと思います。

 

 これからの日本は「日本としてのこころ」を紐解き、これまでに学んできたことを棚卸し、何が出来るのか?何のために?誰のために?を振り返ることから始まるのではないかと感じております。そうすると課題の本質が見えてくると思い、解決のためにそれぞれが持つ個人の「こころ」が貢献できるのではないかと考えます。

 

 サッカーやラグビーなどのスポーツ、天災やコロナなどの非常事態では「こころ」が一つになることは実現されているわけで、他のシーンでも私利私欲のない高貴な目的が共有されることで「こころ」が動くと思います。


中村泰之

不易流行のこころを持ったリーダーを目指して

 

 私は自啓共創塾に参加し、日本には世界に誇れる「日本のこころ」があるということを実感として気づくことができました。これはただ本を読むだけでは得られない、貴重な経験だったと感じています。

 

 毎回のグループディスカッションでは、まるでドラえもんのタイムマシーンに乗って、様々な時代に行き、その時々に活躍した人がどういう考え(思想)を持っていたのか、今の時代に置き換えるとどうなのか、今の自分の立場から見るとどうなのかなど、背景の異なる塾生の方々とディスカッションすることで、多様な考え方があるということに気づき、大きな刺激となりました。

 

 特に私自信は元々理系の技術者としてメーカ企業に入り、歴史は学生の頃から苦手でしたが、改めて社会人になって学んで見ると、食わず嫌いだったのかなと、むしろ新たな知見や新たな考えに触れることは大きな刺激になるのだなと実感しました。

 

 今回の学びを踏まえ、私は「不易流行のこころを持ったリーダー」を目指したいと考えています。それは、いつまでも変わらないもの(不易)として、日本のこころを自分の中に持ちつつも、新しい考えや意見、知識(流行)を取り入れることができる人材をイメージしています。ただし、まだそれは自分の中ではぼんやりしており、リーダー像がくっきりとした画にできるほど具現化できていません。リーダー像をもっと具体的にイメージできるように、そしてそれが自分と重なるように、「日本のこころ」について、今後は自調自考を継続し、もう少し広く、そして深く学びたいと思います。また、職場の部下にもリーダーとして、日本のこころについて伝え、継承していければと考えています。

 

 最後に、貴重な学びの機会の提供頂いた事務局の皆様、一緒に学んだ皆様、どうも有難うございました。


妹尾駿

 “日本”を見出すために(続)

 

 日本社会には「不屈の精神力」がある。現代史でも未曾有の自然災害と人為事故を巻き起こした東日本大震災の被害から一致団結して乗り越え、現状復帰だけでなく未来に繋がる復興を遂げた。日本文化には「融合力」がある。ガラバゴスの中で育った伝統的な文化を新たな技術や社会の流れに呼応して進化させた。日本経済には「底力」がある。かつて国土が痛んだ第二次世界大戦から持前の勤勉性を活かして製造業を中心に前へ前へと推し進めた。しかし、日本は昨今のグローバル世界の拡大や人口減少、複雑化していく社会問題に揉まれる中で自身のアイデンティティを見失い、かつて国民が団結して進んでいた様な道筋を見いだせなくなっている様に感じる。日本には、過去何千年もの日本の歴史が文化・常識・国土に刻まれており、この国に住む我々は無意識的にその“財産”を共有化している。私は、この財産を活かして日本経済が国際的にユニークなポジションに位置づけられるための一助となりたい。そのためには、日本経済に影響を与える“財産”を理解しなければいけないし、扱えるべきだ。「日本のこころ」の理解はその一歩となったと感じている。


馬場もも子

(1) これから先どのような世の中にしたいか

 最近、友人と自分たちの子供は幸せに暮らすことができるのかという話をしました。その背景には、VUCA時代と言われる現代において、戦争や地球温暖化、AIの台頭など、私たちに急激な変化をもたらす問題への不安があると感じています。私自身も将来に漠然とした不安はあり、自分に子供ができたとして、その子が幸せに生きていける世の中になっているとは自信を持っていうことはできません。若い世代が、将来に不安を感じていることはとても悲しいことだと思います。

 この出来事をきっかけに、これから先どのような世の中にしたいか考えたときに、漠然としていますが、若者が将来に希望を持てる世の中にしたいと思いました。

 

(2) 日本のこころはどう貢献できるか

① 環境問題に対して

 ・自然に畏敬の念、感謝の気持ちを持ち、共生していくという考え方の普及

 ・CSRの規範と言われる「三方よし」の考え方も軸にした企業の活躍

② 教育に対して

 ・自己肯定感・自己有用感を育てる、世界で活躍するリーダーを輩出する教育の普及(周囲の人に信頼され、自分の意見を主張し、周囲の意見を受け止め、社会の役に立つ経験)

 

(3) 自分が将来取り組んでみたいこと

① 環境問題に対して

 水道をひねれば水が出て、スイッチ一つで電気がつき、24時間買い物ができる世の中で、自然の恵みに感謝する機会は少ないと思いますが、私たちは自然を享受して生活していることは確かです。

 私は商社の業界団体で働いています。商社は、商品の原材料調達から消費者の手に渡るまで、全ての段階で関わりを持っています。こうしたビジネスを展開する商社だからこそ、消費者に対して、商品の川上を意識させるようなきっかけを作ることができるのではないかと思います。また、商社は「三方よし」という近江商人の考えの下、環境問題に対して様々な活動を行っています。微力ではありますが、商社の業界団体での広報活動を通して、自然に感謝し、共生していくという考え方を普及することに貢献したいと考えています。

② 教育に対して

 この塾を通して、寺子屋教育のすばらしさを知りました。現代の日本では、答えのある問題を解き、決まったことをひたすら暗記する、受動的な教育が行われていますが、今後世界で活躍する人材を育てるためには、答えのない問題について考え、周囲と議論をし、上下関係なく互いに教えあえる、能動的な教育の場が必要だと思います。

 現時点では、明確な取り組みは思いつきませんが、将来的に何かしらこうした教育に関わる活動がしたいと思うようになりました。