第一期塾生最終レポート

本木静香 手塚千尋 石坂雅宏 富田真司 田村高顕


本木静香

第4回の儒教の日本化―伊藤仁斎を中心に 土田健次郎早稲田大学名誉教授の資料に「朱子学や陽明学は自力で聖人になることを目指す思想である。しかし仁斎は個人の能力には限界があるとし、世間の中で世間と協調しながら道の理解と実現を図った。世間を重視する日本的性格がここに現れている。この世間重視とは現状肯定ではない、世間とともに世間を刷新していこうという思想である。」という言葉がありました。

 

日本人は個々人の個性や能力を追求しようとするのではなく、集団で組織力で戦うことを得意とする民族特性があるようにも思います。スポーツなどを見ていてもそのように感じます。

 

しかしこの考え方が危険なのだと思います。

 

個人の幸福より組織がうまく回ることを第一に考えてしまうからです。

 

個々人の顔が見えないので、人権等への配慮も怠りがちになります。

 

コロナの第5波の時も病院という組織を維持することに重きを置きすぎて、自宅療養で亡くなる方を結果として増やしてしまったのではないか?とも思います。

 

一億総中流といっていたが、それが維持できなくなるとみんなで貧しくなる道を選ぶという選択をしているのもやはり、個人より集団を優先する思考が働いていると思います。

 

もう一度仁斎の言葉に戻ると 「仁斎は個人の能力には限界があるとし、世間の中で世間と協調しながら道の理解と実現を図った。」

 

個人の能力は限界があるからといって努力を怠り、既得権を維持することばかりに目を向け、出る杭を打つような行動をしていては日本は先細る一方です。

 

個人が限界まで努力することが前提でそのうえで世間と協調し、世間を刷新する道を選択することが個々人に求められると思います。


手塚千尋

 私はこれから先の社会に三方良しの考え方を再度広めていきたいと考えています。バブル経済を 経験した日本は国際社会での競争を意識しすぎ、利益主義に走りすぎる傾向にあります。

 企業は PRとしての表面的な社会貢献を語るのではなく、社会貢献あっての自社の利益であることを再認 識することで社会全体が良くなると思います。  

 私はまだ若年社員ではありますが、サラリーマンとして社会の一員ですので三方良しの気概を 持って営業活動をしたいと考えていますし、いずれ管理職年次になった際には自啓共創塾で学ん だ二宮尊徳や松下幸之助の思想を会社経営に生かしたいと思います。


石坂雅宏

「日本のこころ」を自分の言葉でいかに伝えるか

 

■家族や海外の友人に分かり易く伝える

・このテーマは自啓共創塾に参加したいと思った原動力になります。

外国の友人知人から日本人の「おもてなし」「もったいない」「礼儀正しさ」等について問われる機会に、分かり易く自分の言葉で語る。

・人に話す際には、キーワードを思い浮かべながら言語化していく必要がある為、自啓共創塾の学びにおいて、自分の心に響いた内容(キーワード)とその理解を下記に列挙します。

・各内容(キーワード)はどれも、日本独特の考え方や文化伝統であることを改めて認識するとともに、キーワードを見ると塾生同士のダイアログでの会話や気付きが想起されます。

・自分の家族や友人知人へ「日本のこころ」を伝えていくということは、とても小さな取り組み、かつ自信を持って語れるまでには、自分の理解度も上げていく必要があります。しかし、たった一人でも伝える事が出来れば、きっとその人から次の人へ伝わる事があり得ると思います。

・「日本のこころ」が少しでも様々な人々に認識されれば、紛争、飢餓、弾圧を解消していくきっかけになっていくのではないか、と感じます。

 

■「日本のこころ」が縄文時代から受け継がれていることの「キーワード」

<日本人のDNA>

 「縄文時代」 1万6千年以上前から1万年以上継続

「現代日本人の12~15%は縄文時代のDNAが残存」

「環境適応力」「復元力」「日本化力」 縄文時代に形成された日本人の三つの力

 「神仏儒の習合」 「和」

<生活>

日本国土が海に囲まれている為、他国との大きな争い事が少ない。 「もったいない」 必要な物を必要な分だけ取り入れる 「物づくりの精神」使い勝手が良く、手入れする事により長持ちする

<日本語>

「大和言葉」 縄文時代に育まれた日本のこころの源流  「タタミゼ」 日本語を話す外国人は皆優しい気持ちになる

<自然と人間の関係性>

日本:「自然=人間、一体不可分」「自然中心」「あいまいさの許容」

 欧米:「自然<人間、人間が上位」「人間中心」「理論的」

<価値観、概念>

 「調和」「おもいやり」「おかげさま」「おたがいさま」

「武士道」勝ち負けではない、自分と向き合う、相手と対峙する、海外への展開

「マンガ・アニメの奥深さ」「剣道にガッツポーズはない」「SDGS全17項目を包含」


富田真司

〇課 題

・日本はまさに約1億2,618万人から1億2,500万人と人口が減少しており「人口減少時代」に挑戦をしていくことになります。

・私が住む岐阜県の人口も35年ぶりに200万人を割り込み、人口減少はさらに加速化している状況にあり、今後10年で毎年1万6千人減少しています。

 

人口減少に伴う影響

・地域や経済の担い手である、いわゆる生産年齢人口の減少が顕著であり、産業、医療、教育、企業、NPOなど衰退が進んでいます。

・特に、健やかで安らかな地域づくりを担う、医師確保などの医療サービスの提供の確保は必須であります。

・私は、人口減少が進み、社会が縮小していく中にあっては、地域の魅力発信、活力を生み出してく取組みが必要であるし、日本の各地域に根づく四季折々の自然、文化、地域資源を見つめ直すことでふるさと回帰(地方創生)につなげることが改めて重要だと感じています。

 

現在の日本の特徴とは

・人口減少社会に立ち向かうためには、日本の特徴やこれまでの歩みをしっかりと認識する必要があります。まず、日本の歴史を振り返ると、古代より日本は島国であり、江戸時代には鎖国が行われてきたことから異なる価値観に不寛容、排他的な考えがあると思います。

・その風土や歴史から多くの日本人は基本的には保守的な考えが多く、変化することに慎重である一方で、集団性が強く、ながされやすい性格もあります。

・ここで着目すべきは、日本人は自らの良い部分を認識し、「過去の良き部分」を着実に残していける特徴があるという点です。

身近な例としても、年中行事も絶やさず継続的に行い祖先へ思いを馳せ、御祈りをし、伝統芸能や文化の体験や発信も行われています。

・しかしながら、近年の日本は、国際化や多様性の拡がりを受けることに合わせて家族の形態の核家族化や地域コミュニティの希薄化があり、地域文化に気軽に触れることができにくくなっています。ひいては、自国の文化を学習したり、体感したり、発信したりする場が減少している課題があり、ふるさとを見つめ直す機会が減少していると感じています。

 

「日本のこころ」を活かした課題解決

・さて、人口減少社会に立ち向かうために、これまで培われてきた「日本のこころ」をどう発露していくことが必要なのか自考を深めました。

・日本のこころには多様な視点があると思いますが、私は、日本人の根本的な特徴を支えている自然、文化など「地域の絆、ふるさとへの愛着の醸成」が人口減少社会の解決の糸口になると考えています。

・日本のこころの源流は日本独特の風土で培われた自然観と家族を基本とした教育から生み出されていることを踏まえると、幼い頃から自然、歴史、伝統、文化、技などふるさとが織りなす知恵を知り学ぶことが大切であり、リベラルアーツのような対話と体験を全身で感じ取っていくことで活路が生まれると感じています。

・それは、ふるさとの宝ものを磨き活かすことにつながり、新たな創造を生み出し、後世に伝えていく契機になると考えています。

・そのため、日本のこころを全身で肚落ちさせる「教育」こそ重要であると思います。そのために私は、「体験学習倍増計画」を提案したいです。

・体験学習により海、山といった自然の偉大さを体験し、地元の神社やお寺と宗教とのつながりを学ぶことを学習する内容は地域の文化や伝統、歴史、自然などふるさと教育を推進することで新たな海外からの影響も俯瞰的にとらえ、見極めた上で、自国に取り入れることができるようになると思います。

・これからの日本に求められるのは、明治維新の立役者や戦後の日本の成長を支えた方のように「転換する力」を持った人材です。まさに、一つの答えにこだわらない感受性豊かな多様な人材です。

・体験学習を増やすことは、幼少期よりインプット形式の授業ではなく、アウトプットを豊かにすることで多様な感受性を育むようなると思います。

 

今後について

・ふるさと愛の発露が「絆」のある地域社会を構築し、互いの文化や考え方を尊重できる社会に導いてくれると思います。

・こうした取組みを進めていくことで、「人」と「地域」が密着し、コミュニティを充実し、地方創生に寄与すると思います。


田村高顕

これからの世界・社会に立ち向かう日本の夢(ビジョン)

 

「The Best Way to Predict the Future is to Invent IT.」

「未来を予測する最良の方法は、それを発明することである。」という、アラン・ケイの言葉の通り、「これからの世界・社会」を待つのではなく、私たちには、それをより良いものとして発明する責任があります。その実現に向けて、

①まず、自らが、どのような「未来」にしたいのかを描き、

②「リスク=変動要素」の的確な把握と対策の検討に努め、

③多様な強みを掛け合わせ、課題の解決と、より良い未来づくりを推進する、

というステップを具体的に実行することに努めています。

 

最初に「世界共通の夢」として、百年後・千年後の健やかな地球の姿を描き出すことがとても重要だと思います。その時代には、国や地域の境い目や格差も無くしていきたいですし、その中で「日本の夢」「Aさんの夢」「Bさんの夢」を実現できるように、そのための第一歩を現時点で踏み出したいと考えます。

 

特に「多様な強み」については、日本の強みを明確化するとともに、世界中の人々の知恵を尊重し、個々の強みを連動させることが不可欠だと考えます。

 

西洋文明の長所・短所が明らかになるなか、少数民族の中にこそ地球を持続可能なものにして次世代に受け渡す知恵が育まれていると思います。

 

そこに日本ならではの強みを掛け合わせることで、「これからの世界・社会」をより良いものにしていく「価値」をつくり出せるように努めていきます。

 

■例:全体課題の見極め→自分とパートナーの強みで解決できる課題の抽出→具体的なアプローチ